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【奈良で初詣】2024年は辰年。“龍”のご利益にあやかる初詣スポット

2024年は努力や準備が実り、「成長・開運・好転」を期待したくなる甲辰の年です。奈良県内にある「龍」にまつわる初詣スポットを紹介します。

2024年の干支は「辰」です。中国や日本など多くの国では、十二支のなかで唯一、実在しない(かもしれない)空想上の生きもの=龍を当てています。

 

辰のうちでも2024年の干支の回りは「甲辰(きのえたつ)」です。どんな性質の年なのかについての解説は、どの干支も景気のイイ言葉が並べられますが、甲辰は[成長の年・開運の年][春の陽射しがあまねく成長を助く年]などとされます。

 

暖かい陽射しがすべてのものに平等に降り注ぎ、成長と変化を促す―。

このことは、これまで日の目を見なかった「地道な努力」「陰の努力」が大きな成果に結びつくことが期待できる一方、隠しておきたかったことにも日が当たり、大きな変化が起きる可能性もあると言えます。

 

日本における龍は、中国の影響を受け、水神である蛇が神格化されたもの、すなわち「龍神」です。奈良にも各地に龍神をお祀りした神社があり、恵みの雨、治水、五穀豊穣の祈りが捧げられてきました。龍が棲むとされる岩穴や伝説も数々語り継がれています。

 

努力や準備が実り、「成長・開運・好転」を期待したくなる甲辰の2024年。奈良県内にある「龍」にまつわる初詣スポットを紹介します。

 

 

■龍泉寺(天川村)

八大龍王堂に描かれた大迫力の雲龍図

天川村の龍泉寺は約1300年前、役行者(えんのぎょうじゃ)によって開かれた修験道のお寺です。大峯山で修行中の役行者が、山麓の洞川まで下りたときに岩場から水が湧き出る泉を発見し、そこに八大龍王尊をお祀りしたのが始まりと伝わります。この泉を“龍の口”といい、龍神の住む泉があることからこの地は「龍泉寺」と名付けられました。

 

本堂の約50m東に建つ八大龍王堂には龍神が祀られ、古来、大峯山修験者の道中安全、家業繁栄の守護神とされてきました。

 

堂内では天井にご注目。迫力満点の雲龍図が描かれています。2024年が良き一年でありますように、力強く舞う龍に叱咤激励、勇気をいただけること間違いなしです。

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■慈光院(大和郡山市)

本堂の天井に描かれた「墨絵の雲龍図

慈光院は小泉藩2代目藩主で茶人の片桐石見守貞昌(石州)が、父の菩提寺として寛文3年(1663年)に建立されました。

 

石州は「分相応の茶」を説き、徳川4代将軍家綱や水戸光圀らに茶の湯を指南しました。慈光院の境内は、全体がひとつの茶席に見立てて造られており、庭園は国の史跡・名勝に指定され、茶室と書院、手水鉢は国指定重要文化財になっています。

 

本堂には釈迦如来坐像や片桐石州像などが祀られており、普段は立入禁止です。

ただし、正月三が日の特別公開では堂内にあがることができ、入江正巳画伯によって天井に描かれた「墨絵の雲龍図」を拝観することができます。この雲龍図の下で、手を打つなど音を鳴らすと反響する「鳴き龍」を体験して、新年の吉祥をいただきましょう。

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■新薬師寺(奈良市)

円陣を組んで薬師如来を守る十二神将

光明皇后が夫である聖武天皇の病気平癒を願って天平19年(747年)に創建された古刹。

奈良時代作のご本尊・薬師如来坐像(国宝)を護衛する円陣を成しているのが十二神将立像(国宝)です。

 

十二神将のうち、弓矢を腰の位置で構えた波夷羅(ハイラ)大将(国指定名:宮毘羅)が辰年の守護神です。像高約160㎝で、十二神将のうち、この1体だけが、補作(昭和6年)です。

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■安倍文殊院(桜井市)

快慶作! 国宝・渡海文殊群像

国宝・渡海文殊群像(とかいもんじゅぐんぞう)は、獅子に乗る文殊菩薩が、向かって左の維摩居士(最勝老人)と須菩提(仏陀波利三蔵)、向かって右の手綱を持つ優填王と先導役を務める善財童子の4人の脇士を伴う群像です。

 

文殊菩薩は右手に「降魔の利剣(ごうまのりけん)」、左手に慈悲・慈愛を象徴する蓮華(ハスの花)を持っています。胎内の墨書銘から鎌倉時代初期の建仁三年(1203年)に、快慶によってつくられたことが判明しています。獅子を含む総高は約7mで、騎獅像としては日本最大です。

 

干支を花の株でかたどって描く花絵は毎年恒例。パンジー約8000株を使った龍が登場しました。龍の手には、文殊菩薩が持っておられる「降魔の利剣」を持たせてあります。

安倍晴明が天文観測をしたと伝わる高台に設けられた展望台から全体像を眺望することができます。

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■龍王社(春日大社/水谷九社めぐり第3番)(奈良市)

聖なる水谷川の川辺に鎮座。春日大社創建1250年記念に再興されました。

龍王社は、2018年に春日大社が創建1250年を迎えたことを記念して、現在の御祈祷所の北隣接地に140年ぶりに再興されました。春日山に鎮座する水徳の神である龍王大神をお祀りし、運気を上昇させ、富貴に導く神様として知られています。

 

春日山から湧き出る水谷川(みずやがわ)は古来聖なる川として大切にされてきました。「水谷九社めぐり」はこの水谷川の川辺に鎮まる霊験高い九社を巡拝するもので、開運招福にご利益があるとされています。

 

また、境内には、開運財運をお守りくださる春日大社末社・金龍神社(若宮十五社めぐり第14番納札社)があります。

 

令和6年(2024年)1月11日からは、境内の龍神様をお祀りする五つのお社を巡る「春日五大龍神めぐり」が新たに始まりますので、ぜひお参りください。

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■海龍王寺(奈良市)

旅行や留学の安全を見守る名刹。「龍」の絵馬に願いを。

奈良時代、玄昉(げんぼう)という名の僧がいました。聖武天皇と光明皇后に重用され、平城宮の北東に位置する皇后宮にある寺院の住持(主僧・住職)に任命されました。

 

その玄昉が唐留学からの帰途、東シナ海で暴風雨に遭遇した際に「海龍王経」を唱えて難を乗り切り、無事に帰国したことにちなみ、その寺院は「海龍王寺」と名づけられました。

 

遣唐使の渡海安全祈願や、現在に受け継がれている四海安穏祈願法要(毎年4月18日)が行われてきたことから、「旅行・留学の安全を見守ってくださる」として信仰されています。

 

寺号に「龍」が入っていることから、山門脇に掛かる大絵馬や参拝者が願い事を書いて奉納する絵馬に「龍」が描かれています。絵馬に願いを添えると、[成長の年・開運の年]などとされる甲辰のご利益を授かることができそうな気がします。

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■室生龍穴神社(宇陀市)

龍王が棲む「龍穴」を祀る古社。手水舎の「龍」もお見逃しなく!

 

 

室生トンネルを抜けてすぐ、直立する巨杉に守られた室生龍穴神社があります。

平安中期の『延喜式神名帳』に記された古社で、水・雨を司り、晴雨を調節して国土国民に恵みをもたらす高龗神(たかおかみのかみ)を祭神とします。

 

本殿は春日造。春日大社若宮のかつての社殿を江戸時代の寛文12年(1672年)に当地に移築したものです。その本殿の背後に古来、龍王が棲む「龍穴」とされる岩窟があります。龍穴は古来、慈雨を祈る神として信仰されてきました。その岩窟「吉祥龍穴」へは、本殿から車道を約400m行ったところから山道に入り、さらに約800mで到着します。

 

室生龍穴神社から徒歩約10分のところに「女人高野」で知られる室生寺があります。室生寺は、室生龍穴神社の龍穴信仰に基づいて創建されたといわれ、両社寺は古代から一体的に信仰されています。

 

〒633-0421 奈良県宇陀市室生1297

 

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