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富雄丸山古墳(奈良市)

こんなの見たことがない!「蛇行剣」「盾形銅鏡」など“国宝級”を発掘。謎と魅力が詰まった日本最大の円墳です。
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奈良市にある富雄丸山古墳は、4世紀後半築造とされ、2017年の航空レーザ測量で直径が日本最大の約109mと判明した円墳です。2022年、世界最大の蛇行剣(だこうけん)と世界初確認の鼉龍文盾形銅鏡(だりゅうもんたてがたどうきょう)が出土し、“歴史的発見”として一躍スポットライトを浴びました。主たる被葬者がだれなのか、解明されていません。

 

富雄丸山古墳があるのは、富雄川の西側。2024年11月30日にオープンした道の駅「クロスウェイなかまち」の近くです。そこから向かうと、富雄丸山古墳のイラスト入りの路面サインが古墳まで案内してくれます。

 

この古墳は明治時代に盗掘に遭ったことがわかっていましたが、2017年以降の発掘調査で、鰭(ひれ)付円筒埴輪や湧水施設形埴輪といった各種埴輪片や埴輪列、敷き詰められた小礫、葺石などが確認されています。

 

調査の過程で、円墳に「造出し(つくりだし)」と呼ばれる部分が付属していることがわかりました。そこにコウヤマキ製の割竹形木棺が良好な状態で残存しており、それを覆う粘土の中から蛇行剣と鼉龍文盾形銅鏡が見つかったのです。その後、割竹形木棺も調べられ、中から櫛や重ねられた銅鏡3枚が見つかりました。

 

[蛇行剣]

刃部が蛇のようにくねくねとしている鉄製の剣。鉄身の長さは約237㎝で、把頭(つかがしら)や突出部を含めると約285㎝もあります。蛇行剣の従来の最長記録は84.6㎝(奈良県宇陀市北原古墳)とされていました。富雄丸山古墳の蛇行剣は別格のサイズです。

 

[鼉龍文盾形銅鏡]

銅鏡の多くが円形ですが、これは一方の端が半円形になった盾の形状。立てると、高さ64㎝、幅31㎝。背面には鼉龍(ワニのような龍)文様や、呪術的な鋸歯文(きょしもん)が描かれています。現時点で、世界のどこを探しても同様の銅鏡は見つかっていません。

 

国宝級と騒がれるほどの貴重な出土品。未解明な謎とロマン。富雄丸山古墳の魅力を広く発信しようと、奈良市では、現地周辺に、出土品と市所有文化財を展示公開できる施設と収蔵保管するための埋蔵文化財調査センター、収蔵庫などの機能を集約した「奈良市文化財センター」(仮称)の建設が計画されています。

また、円墳内を巡ったり、墳頂部にのぼったりできるよう通路を整備するなどして、公園化する構想もあります。

 

掘ればなにかが出てくると言われる奈良は、歴史・考古学に対する好奇心をかき立ててくれます。富雄丸山古墳に立って、古代のヤマト王権の想像を楽しんでください。

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