澄みわたる神秘の青。正倉院宝物や身近な自然のなかで見つけられる色です。
想像してみてください。大空の宇宙に近いところ。大海に射し込んだ太陽光が溶け始めるあたり。どんな色をしているでしょうか。
紺碧。紫がかった紺。
これに星や日光のキラメキをまぶすと「青金」のできあがり。
この神秘的な色を放つ鉱石がラピスラズリ(青金石)で、ツタンカーメン王墓にも使われました。
やがて、ラピスラズリの青く輝く色に表現されたガラスが作られるようになり、そのガラスを瑠璃、その色を瑠璃色と称するようになった―というのが、調べてみた瑠璃色の歴史です。
〝青金色〟とも呼びたくなる瑠璃色は、仏教において四宝、あるいは七宝の一つに数えられ、日本では古くは正倉院の宝物にも見られます。
「紺玉帯(こんぎょくのおび)」はラピスラズリがあしらわれたベルトで、「瑠璃坏(るりのつき)」はコバルトによって紺色に発色されたアルカリ石灰ガラス製のカップです。
古代から奈良に縁のある色だった瑠璃色。身近な自然のなかにも“ルリ”を名に冠する生きものが見つかります。
ルリセンチコガネ(写真)は奈良公園や若草山で見つけることができる昆虫です。ほかに、ルリビタキ(鳥)、ルリイトトンボ(昆虫)、ネモフィラ(花)なども。
奈良県の市街地でも見かけるイソヒヨドリ(鳥)の雄も、頭~喉元~背中に瑠璃を思わせる色彩をまとっています。
M・メーテルリンクは、高嶺の花を探さなくても、大切なものは、いつも近くに、そっとあるものなのだと教えてくれました。
町や公園で瑠璃色に出会ったら、『青い鳥』を思い出してみてください。